いろんな本を読んでみる

本を読み散らかすだけじゃもったいない!ので、読んだ本を記録します

小説

宇宙の果てには売店がある

100文字未満のワンフレーズを含む 超ショートショート集 (こんな短い文章をどうジャンル分けしたらいいのか、呼び方を私は知らない) 概要 宇宙旅行が普通になったら タイムスリップができるようになったら 人類が地球から他の星に移住するようになったら …

あさ酒

「見守り屋」で新たに働き始めた恵麻を中心とする物語。 あらすじ 恵麻は、コロナによる派遣切りで職を失い、同棲していた彼氏にも別れを告げられた。 自身がコロナに罹患し一人で苦しんでいる時、両親が「中野お助け本舗」に支援を依頼する。 その縁で、恵…

オール電化・雨月物語

「雨月物語」の内容をエッセンスとして取り入れて、現代的な小説として書かれた短編集だ この中の話として私が一番面白かったなと思ったのが「ヒンプク論」だ 【ヒンプク論】 あらすじ 岡本佐一郎は事業に成功し、莫大な資産を手に入れてもなお、日々倹約を…

サクラサク、サクラチル

悪質な嫌がらせは誰が何の目的でやっているのか 高校生2人の復讐とは何なのか そういった要素を読み解きつつ、 人の残酷さ、脆さや狡さといった現実を痛いほど突きつけてくる小説。 あらすじ 必ず東大に入るようにと、親から睡眠時間・勉強時間・その対あら…

リカバリー・カバヒコ

新築マンション アドヴァンス・ヒルに引っ越してきた人々の日常の葛藤と、それをどう乗り越えるかを描く連作短編だ。 あらすじ 地方の中学校ではトップだったのに、進学校の高校に入って成績が振るわない泰斗 ママ友付き合いで神経をすり減らす紗羽 ウェディ…

女の国会

国会議員の高月馨は叩き上げの政治家。女性であるがゆえのハンデ、誹謗中傷、セクハラを受け、女性というだけでイロモノとして党内でいいように使われながらも、しぶとく国政で生き抜いている。 あるとき、政治家一家に生まれ育った国会議員、お嬢こと浅沼侑…

あいにくあんたのためじゃない

理不尽な目にあったとき、いろんな条件が重なってうまくいかないとき、 理不尽さを受け入れるのではなく本人なりの戦い方で跳ね返していくような、短編集。 一番ゾクゾクしたのがこの作品。 めんや 評論家おことわり あらすじ 創業五十年の中華そばのぞみ。…

ツミデミック

一見、なんてことのない日常の裏に潜む、非日常のことが起こる短編集。 中でも一番印象に残ったのがこちら。 ロマンス☆ 4歳の娘を持つ母親がイケメンのフードデリバリー配達員を見かけ、その人に会いたくて初めてデリバリーを使う。 しかしなかなかそのイケ…

明日、世界がこのままだったら

目覚めると、見ず知らずのサチの住む都心のタワマンと、ワタルの住むアパートの部屋がくっついていた。 サチとワタルの暮らしていた街並がなぜかいびつに連なっていた。 街には2人しかいない。 しかし何も不自由がなく、必要なものが手に入り、痛みなども感…

木挽町のあだ討ち

芝居小屋のそばで、菊之助という武家の若者による仇討ちが成功した。 後日、菊之助の縁者という侍が、仇討ちについて、 菊之助と関わりのあった芝居小屋の人々に、話を聞いて回る。 私は、一人目に話を聞いている頃は、単調に読み進めるだけだった。 2人目3…

わたしたちに翼はいらない

学生の頃いじめられてきた人、スクールカースト上位にいて、いじめたりいじめる人を傍観してきたりする人たち。 それらの人々が大人になって接点を持ち他者との関わり方について掘り下げていく物語 登場人物達のフレーズで、今までモヤモヤして何とも表現し…

嘘と正典

嘘と正典ソビエト時代のCIA モスクワ支局の工作担当員ホワイトは、過去に遡って通信する時空間通信の方法をソ連の研究者から入手した 共産主義を消滅させるために、過去の事実を変えるため、マルクスとエンゲルスの接点が生まれないよう画策する。 なるほど…

真珠とダイヤモンド

バブル期に証券会社に同期入社した大卒、短大卒、高卒の3人を中心とする物語。 若くして証券取引で成功していると思っても、 本人の才覚より時代の幸運が加味していることに気づけずに、 大きな儲けを目論んで危ない橋を渡る。 読んで感じたのが、世代間格差…

ケチる貴方

備蓄用タンクの設計施工をする中小企業に勤める主人公。 彼女は金銭面でも仕事の面でもとてもケチ。 お金を払いたくないときはお金を出さない。 後輩指導係になっても対応は最低限。 雑用などはまず断る。 その主人公は極度の低体温で、いつも体の芯から冷え…

喫茶おじさん

松尾純一郎57歳は、早期退職に応募して再就職活動中。 子は進学のため一人暮らし、妻も子の元に同居し、実質一人暮らしだ 喫茶店巡りを趣味としようする。 そんな折に出会う娘、妻、元同僚…など、あらゆる人に 「何もわかってない」 と言われながらも、自分…

月と日の后

2024年の大河ドラマ 光る君へ は新たな道長の解釈で面白かった。 教科書では道長ってこんなんじゃなかったよなあ 小説ではどう描かれてるかな と思い、道長の娘で中宮となった、彰子の物語、 月と日の后 を読んだ 光る君へ が終わってもっと藤原家のことを読…

消えてなくなっても

★先入観なく読んだほうが面白いはず ネタバレではないですが、未読の方は以下読まないことをオススメします 主人公あおのは 田舎町の商工会の広報に勤めている。 同時に、加害障害に悩まされ心療内科にも通っていた。 その時取材で山奥のキシダ治療院に取材…

宝の山

山あいの閉鎖的な村で起こる事件。 主人公の希子は地震で両親を亡くし、 叔父夫婦と暮らしている 。 現在は働かず叔父夫婦の年金で暮らしており、日々叔父の介護やおばの生活の補助におわれる。 ある日、町おこしのためのブロガーとして雇われ村にやってきた…

最後のページをめくるまで

一気読み必至!のミステリー短編小説集だ どの話も最後の最後で、そういうことか!と そこまでの内容が一気にガラガラっとクリアになっていく。 自分が人に対してやったことが、人はどのように感じているかが読めないことにより、 思わぬ方向で自分に大きな…

赤と青とエスキース

赤と青とエスキース を読んだ あらすじ 「レイ」はオーストラリア留学で出会った、日系人の「ブー」と出会う。 二人は留学が終わるまでの期間限定の恋人として付き合う。 帰国直前に書いてもらったレイのエスキースは、その後色々な場所に巡り、様々な人と人…

成瀬は天下を取りに行く

成瀬は天下を取りに行く を読んだ。 中学2年生の成瀬あかりは、滋賀の地元ローカルテレビ局の番組で放送される西武大津店閉店のカウントダウンの生中継に、毎日 映り込むと決める。 成瀬と同じマンションに住む幼馴染の島崎は、 成瀬から写っているかをリア…

私にふさわしいホテル

私にふさわしいホテル 数多くの文豪が執筆活動のためカンヅメとなった山の上ホテルに、毎年主人公は宿泊する。 ある新設の新人賞をとるも、同時受賞したタレントの本ばかり注目され、その後作品を発表する機会がなかった。 アルバイトで貯めたお金で、自腹で…

ついでにジェントルメン

ついでにジェントルメン を読んだ 男性と女性の立場の違いからくる関係性をテーマにした短編集だ。 中でも、面白かったのが「あしみじおじさん」だ 主人公の亜子は幼い頃から貧しく、大学進学も断念していた。 顔のコンプレックスを解消するためバイトでお金…

夜が明ける

夜が明ける を読んだ 父が借金を作って自殺した俺。 報道のみちをこころざすも、小さな芸能プロダクションに就職、過酷な労働環境、ハラスメントを受けながら、いつまでもADから抜け出せない必死で働く。 貧困のなか虐待を受けていた高校時代の友人アキも苦…

傑作はまだ

傑作はまだ 引きこもりの小説家 加賀野正吉のもとに、25年間一度もあったことのない息子 智が突然やってきた。 加賀野は全く人との接点がないまま50歳になっていた。 人当たりのよい智とともに、短い共同生活を送る中で、 智を介して自治体やコンビニ店長…

琥珀の夏

琥珀の夏 を読んだ。 静岡の山にある「ミライの学校」。 自然の中で、未就学児から10代後半、高校生に当たる年齢の子どもたちが共同生活を行っている。 自主性を育むこと、身の回りのことを自分でやれるようになること、 そして、子供たちが「対話」を繰り…

婚礼、葬礼、その他

婚礼、葬礼、その他 を読んだ ヨシノはいつも呼ぶ側ではなく呼ばれる側の人間だと自負している。 結婚式でのスピーチ、2次回幹事を頼まれ、屋久島旅行をキャンセル。 さらに結婚式へ向かう途中、上司の父親の通夜手伝いに向かうことになる。 実子、孫には好…

オーラの発表会

綿矢りさ オーラの発表会を読んだ 主人公の海松子(みるこ)は人の気持ちを想像したり、 人からどう見られるかということを考えたりすることがかなり苦手。 他人の真似をして本人は生きているつもりだったが、 子供のころから学校では孤立しているとみられて…

逆ソクラテス

逆ソクラテス を読んだ 小学生をモチーフとした短編集だ。 ■逆ソクラテス。 主人公の加賀の同級生、安斎は担任の久留米先生が、 自分の考えが正しいと思い込み先入観を持って児童に接していることに 反発し、「カンニング作戦」を実行する。 事実は事実とし…

書店員と二つの罪

碧野圭さんの小説、「書店員と二つの罪」 を読んだ。 「書店ガール」・「菜の花食堂のささやかな事件簿」…等の、 前向きに仕事頑張ってみよう!系のお仕事小説とは、 どうも表紙の雰囲気もコピーも違うぞ…とは思いつつ…だったが、 やっぱり全然違った。 17…