桐野夏生さんの小説だ。
エンタメ小説家、マッツ夢井
[文化文芸倫理向上委員会]から、召喚状をうけとる。
出頭すると、正しい小説を書くよう更正するという名目で、脱出不可能な療養所に監禁される。
恐ろしい、の一言につきる小説だった。
- 正義の基準は絶対的なものではなく、恣意的にいくらでも決められる。
- 集団の正義の前では、人権はないに等しい。
- 生存ギリギリの状況では誰しもが自分のことしか考えられなくなる。
今回の設定はフィクションだとしても歴史上は迫害・虐殺・征服など、同じようなことが繰り返されている。
また、身近なところでも、いじめ・虐待・パワハラなど、立場を利用して追い込むことは多かれ少なかれある。
ヒトが生きていく上で、大なり小なり避けては通れない理不尽さが描かれている小説だった。
この本は表紙も怖かった。
手に取った際には表紙についてさほど気にとめなかったが、
読了後表紙を見ると、絵に小説の内容が凝縮されており、改めて内容が想起されてゾッとした。
表紙でここまで衝撃をうけた小説ははじめてだ。
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タイトル 日没
著者 桐野夏生