婚礼、葬礼、その他 を読んだ
ヨシノはいつも呼ぶ側ではなく呼ばれる側の人間だと自負している。
結婚式でのスピーチ、2次回幹事を頼まれ、屋久島旅行をキャンセル。
さらに結婚式へ向かう途中、上司の父親の通夜手伝いに向かうことになる。
実子、孫には好かれもせず、愛人を囲い、通夜では妻と愛人でバトルが起こる。
結婚式を欠席してまで何でこんなひとの通夜に参加せねばならないのかと
空腹でたまらないヨシノは悲しくなる。
一方、友人代表の結婚式のスピーチも酔った友人がグダグダに、
二次会幹事たちが喧嘩を始め、
と、どれもこれも大わらわになっている…
これを読んで感じたのが、
理不尽だらけ、
何かが劇的にうまく行くこともない
でも、やけにならずに過ごせば、
それなりにいいこともあるかも、と、
思えるということだ。
最後のヨシノの一言、まさにそうだなあ…としみじみ感じた。
「わたしは、やっぱりあんまりでかい葬式とかはいいから、誰も関係ない人を呼び出さずに済むようにしたいですね。あと、孫ができたらかわいがって、何もちらつかせずに誰かにお見舞いに来てもらえる人生を目指します」
目指すこと、にしては正直大したことないように思うけれど、
損得抜きの人間関係って大事だな、と
しみじみ感じる一節だった。
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タイトル 婚礼、葬礼、その他
著者 津村記久子