傑作はまだ
引きこもりの小説家 加賀野正吉のもとに、25年間一度もあったことのない息子 智が突然やってきた。
加賀野は全く人との接点がないまま50歳になっていた。
人当たりのよい智とともに、短い共同生活を送る中で、
智を介して自治体やコンビニ店長等と少しずつ交流が生まれいく。
一人で過ごしていれば、そういう醜いものすべてを切り捨てられる。ストレスもいやらしい感情も生まれない心は、きれいで穏やかだ。しかし、こんなふうにうれしい気持ちになることは、一人では起こらない。
この本の中で一番印象に残ったフレーズがこれだ。
テレワーク普及で引きこもろうと思えば引きこもれるようになった。
でも、
人と関わらないことで
自分に価値がないと落ち込んだり、他人の目を気にしなくてよいということから得られる平穏と、
人と関わることで時に面倒も引き受けつつ、それでも日々に喜びを感じられることと、
どちらが幸せだろう、と考えたら、
自分の思うとおりに行かないことがあっても
人と過ごすことで得られる幸せのほうが価値があるように感じる。
どうしても、いやな目にあったらもう一度引っ込めばいい。
プラマイゼロより、
マイナスもあるけどプラスもある環境で
過ごしたいなと思った。
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タイトル 傑作はまだ
著者 瀬尾まいこ