砂の王国は、新興宗教をテーマにした小説だ。
最近のニュースで、二世信者の苦悩や、宗教とお金の問題が大きくクローズアップされている今、この本を読み返した。
主人公は大手証券会社をクビになり、妻も出ていき、ホームレスになる。
寝泊まりする公園で出会った超美形のホームレス、コールドリーディング(会話や動作から相手の情報を読み取り言い当てる)する占い師と共に、
収入を得る手段として、新興宗教団体「大地の会」を立ち上げる。
主人公は二人のもつ「才能」を活用し、大地の会を発展させるシナリオを描いて、組織を大きくするが…。
これを読んで思ったことはいっぱいあって。
何より、「誰かが自分を幸せにしてくれるわけではなく、救いと現実逃避をごちゃごちゃにしないこと」が大事なんだろうな、ということ。
その上で、
- 人はなにかにすがったりファンになったりしたい。
- 操作するテクニックはあっても、他人の心は完全にコントロールすることは難しい。
などなど…気になることはたくさんあった。
この主人公のように、自身が作り上げたものを失うことを恐れるより、なにかを成し遂げようとしている途中のほうが気力が漲っているように感じる。
もちろん自分の理想どおりにいくのがよいが、
失敗しても次があると考えられたら…と思った。
ーーーーーーーー
タイトル 砂の王国
著者 荻原 浩