碧野圭さんの小説、「書店員と二つの罪」 を読んだ。
「書店ガール」・「菜の花食堂のささやかな事件簿」…等の、
前向きに仕事頑張ってみよう!系のお仕事小説とは、
どうも表紙の雰囲気もコピーも違うぞ…とは思いつつ…だったが、
やっぱり全然違った。
17年前、中学生が同じ中学の女子生徒を殺害した事件が起こった。
その殺人犯「死我羅鬼 潔」が事件の告白本を発行した。
主人公の椎野正和は契約社員として書店で働いている。
この本を店頭で売らなければならない状況となる。
当時の事件がまたこの告発本のせいでにわかにマスコミ等にも取り上げられていく…
という話だ。
この本を読んで印象に残ったのが、
正しいことは楽だ、正義よりも重いものがある
ということだ。
正義を振りかざして他者を痛めつける人がいる。
因果応報とはならず、理不尽に自身が苦しまねばならない場合がある。
国民性・宗教観等、各自のバックグラウンドは様々だから、
時には、人の置かれた立場によって望ましいこと・正しいことが異なる場合もある。
世の中は、きれいに善悪/正誤で切り分けられない。
人はそれぞれ抱える事情が異なるし、その人の抱える事情は自分からではすべて見えることはない。
少なくとも私自身は、傍観者の立場で自分に被害がないところから
あれこれエラそうに断罪して見せるような真似だけはするまい、と思った。
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タイトル 書店員と二つの罪
著者 碧野 圭