ついでにジェントルメン を読んだ

男性と女性の立場の違いからくる関係性をテーマにした短編集だ。
中でも、面白かったのが「あしみじおじさん」だ
主人公の亜子は幼い頃から貧しく、大学進学も断念していた。
顔のコンプレックスを解消するためバイトでお金を貯め、同じ団地で同様の暮らしをしていた友人のバイト先の美容整形クリニックに行くが、
待合室に置かれていた少女文学全集を読み、美容整形を考え直す。
小公女、アルプスの少女ハイジ、あしながおじさん、赤毛のアンなどを通して
少女が篤志家の男性から経済的・精神的な援助を受け貧困から抜け出し成功をつかむ
という普遍性に気付き、
自身も物語の主人公のように振る舞えば道が拓けるのではと考えたのだ。
美容クリニックの院長と付き合うことで、高級マンションに住まう友人とは対照的に、亜子は富裕層とのパスを作りたいと周りに相談する。
亜子は、「児童文学から方法論を導きだし、自身が貧困から抜け出すために行動する」という姿勢を貫くことで、その生きざまに賛同する人たちから様々な形で支援を受け、劇的に亜子を取り巻く世界が変わっていく。
女性が成功するために自分を変えるのではなく
自身の考えを曲げることなく富裕層の行動を変えていくのだ。
これまで、私自身は立場が上の人から「何かをもらう(金銭的援助に限らず、例えばおごってもらうなどいった小さなことでも)」というケースについて
深く違いを考えてこなかった。
- 相手を喜ばせ、相手におもねることで援助を受ける(自分が変わる)
- 自身の信念に賛同をうけた結果援助が得られる(相手が変わる)
のは大違いだと気づいた。
前者は、強者と弱者の関係で、後者は、対等な関係といえる。
そして、相手と対等な関係になるには自身の考えを持ち、行動に移していることが必要だ。
私は、対等な関係で、いろいろな人から支援を受けられるような生き方をしたい。
そのためには自身の考えを明確に意思表示することから始めたい。
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タイトル ついでにジェントルメン
著者 柚木麻子