いろんな本を読んでみる

本を読み散らかすだけじゃもったいない!ので、読んだ本を記録します

できない相談

できない相談 を読んだ

できない相談 (単行本)

「その人のこだわり」に焦点を当てた短編集だ。

 

印象に残ったのが

  • 東京ドームの片隅で

という、コンサート終了後のカップルの行動の話だ。

 

これを読んで思ったのが、ただしさは立場によって変わるということ。

自分がいいと思っても、人により違うから、悪意や相手を傷つけようという気持ちがなくても、

ただ、わかりあえない、ということもあり得るのだ。

 

正しさは相対的だということを踏まえて

人付き合いはしていきたいとおもう。

 

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タイトル できない相談

著者 森絵都

 

 

 

 

 

 

 

野球の経済学

選手の年俸など野球にまつわるお金事情があれこれ気になる家族と一緒に、

野球の経済学を読んだ

(ちなみに、こんなに野球のお金周りが気になるのは

 グラゼニシリーズの影響かと…)

サクッとわかる ビジネス教養 野球の経済学

 

 

野球ビジネスの仕組み・日米の比較・経営目線での野球ビジネス

など紹介されている。

一例として、パシフィックリーグマーケティング(PLM)の仕組みの導入などがある。

パ・リーグTV」は映権を一括して運用・管理することで

維持運用コストを抑えて運営できる、というものだ。

 

セリーグでは親球団にメディア系企業が多く利害関係が一致しないため

運用は難しいとのことだ。

 

何気ないサービスの裏でも、

各球団のオカネ事情が絡んでいる、というのが見ていてよくわかる一冊だ。

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タイトル 野球の経済学

著者 小林至

 

 

 

 

 

 

オーラの発表会

綿矢りさ オーラの発表会を読んだ

 

オーラの発表会 (集英社文芸単行本)

 

主人公の海松子(みるこ)は人の気持ちを想像したり、

人からどう見られるかということを考えたりすることがかなり苦手。

他人の真似をして本人は生きているつもりだったが、

子供のころから学校では孤立しているとみられていた。

 

大学生になり、二人の男性からアプローチを受けるも

恋愛感情とは何かがわからない海松子だったが、

人の気持ちがわからないなりに、

出会った同級生等と会話する機会も出てきて、

心境の変化が生まれてくる。

 

もちろん、きゅんとする恋愛物語でもあるのだが

これを読んで思ったのは

自分がどうしたいかで行動できているか?ということだ。

 

海松子は「人の気持ち」を推し量らず(または推し量っても

ずれていて)、人に合わせて自分を変えようとしてもそもそもそんなことができない。

友人?の萌音は、いいと思った人の服・持ち物などなど完コピをすることで

周りからうっとおしがられたりもする。

 

でも、自分がそれでいいと思って行動すると、

傷つくこともあるけれど、

それも含めて自分で引き受ける覚悟が伴い、

潔いし、清々しいと感じる。

 

人のことで悩むから人間なのだけど、

悩みすぎて辛くなったら、自分がどうしたいかに戻って

考えることが大事だと思った。

 

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タイトル オーラの発表会

著者   綿矢りさ

 

 

パックンの最新野球英語講座

パックンの最新野球英語講座 を読んだ。

 

 

家族も英語に興味を持つかも、と思って読んだ本。

英語の勉強になるかと言われれば、どうかなーという感じではある。

 

でも、近年よく放送されている「(日本人選手の出る)メジャーの試合の、

ナゾ日本語交じりの実況」(なぜサヨナラじゃないホームランなのに、

「サヨナラ~」と言ってるか、など)考え方の背景等がわかって面白く読めた。

 

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タイトル パックンの最新野球英語講座 メジャーリーグ中継を英語で味わってみよう

著者  パトリック・ハーラン

 

 

 

 

逆ソクラテス

ソクラテス を読んだ

 

逆ソクラテス (集英社文芸単行本)

 

小学生をモチーフとした短編集だ。

 

■逆ソクラテス

主人公の加賀の同級生、安斎は担任の久留米先生が、

自分の考えが正しいと思い込み先入観を持って児童に接していることに

反発し、「カンニング作戦」を実行する。

 

 

事実は事実として認めるが、評価には思い込みや先入観はつきものだ。

先入観から不本意な言葉を投げかけられても、「僕は、そうは思わない」

の一言は、相手の土俵に引きずり込まれない強い響きを持っていると感じた。

他社からの評価で悶々とするときは、このフレーズを思い出したい。

 

■スロウではない

転校生の高城かれんは目立つタイプでもなく、

これまで一人でいた村田花と友達になり過ごしていた。

クラスの中心人物の渋谷亜矢に目の敵にされ

トラブルが起きるが、そこで転校した理由が明らかになる。

 

この話も、人を一面で判断する恐ろしさを物語っていると思った。

 

■非オプティマ

いつもペラペラの服を着て、馬鹿にされてもジョークで受け流す転校生、保井福生

生徒に対して怒鳴ったり、罰を与えたり、厳しいことを言わない久保先生。

久保先生のことを舐めてかかり、授業中にほかの生徒もたきつけて「缶ペン落とし」を集団でさせる騎士人。騎士人の親が大手企業の重役で、そのことも騎士人はひけらかして偉そうにしている。

保井福生と主人公の将太は騎士人を「失脚」させようと、弱みを握ろうとするがうまくいかない。

そんな中、授業参観で久保先生がある発言をする。

 

この本で一番印象に残ったといってもいいかもしれないのは、久保先生の参観での言葉たちだった。

  • 相手によって態度を変えるのは、善悪以前に危険だ。相手の本当の姿もわからない。実は仕事の面で力を持っているかもしれない。
  • 大事なのは評判。ずるいことをしたやつだ、ずるいことを周りにさせていたやつだ、という評判は記憶について回る。
  • 法やルールに縛られないこともあり、悪いこと・ずるいことが起きるのもそういう場面だ。人はそういう場面で試される。

 

人は一面しか見えていない。相手によって態度を変えること意味が腑に落ちた。

 

そのほかの短編も含めて、

人と人は関係性で成り立っているし、

相手がどんな人なのかのすべての面は計り知れない

先入観で相手を判断して軽んじたりしても、そうしていることを

周りは覚えているかもしれない。

自分が軽んじられたとしても、事実と人の感想は切り分けて考えるようにしたいと思った。

 

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タイトル 逆ソクラテス

著者 伊坂幸太郎

 

「繊細さん」の幸せリスト

自分が完全に該当するわけではないとは思うが、

一部当てはまる部分もあるかも…と思う「HSP(Highly Sencitive Person)」

すなわち「敏感な人」という概念が最近気になっている。

そのHSPをテーマとした本、「繊細さん」の幸せリスト を読んだ。

 

 

今日も明日も「いいこと」がみつかる 「繊細さん」の幸せリスト

この本は、繊細さゆえに小さなことにも気づき、そのため疲れやすかったり

ストレスが出やすかったりしがちなHSP気質の人に向け、

その繊細さを含めて自分が幸せになる方法を提案するというものだ。

 

中でも、「良心の幸せ」という考え方は参考になった。

・自分がいいと思うことを仕事にすると心が満たされる

・相手を信じる。意外と何とかなる。

・向いてないこと、違和感のあることはそれが得意でやりたい人に任せる

というものだ。

 

これを読んで、

正直、そんなうまくいけば苦労しない…と身構えてしまったが、

その態度こそが「何とかなる」に相反しているなとはたと気が付いた。

 

最後の手段として、「自分がやらない」という選択肢が残っていると

気が付くだけでも、生きていける気がする。

(たとえそれで今の職場がつらくなっても、異動や転職など、

 生きていける程度に働く方法はほかにもある、と気持ちに

 ゆとりが持てる)

 

こうあらねばならない、と考えがちな時、

閉塞感でいっぱいの時に、この本を思い出したい、と思った。

 

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タイトル 繊細さんの幸せリスト

著者 武田 友紀

 

 

書店員と二つの罪

碧野圭さんの小説、「書店員と二つの罪」 を読んだ。

 

「書店ガール」・「菜の花食堂のささやかな事件簿」…等の、

前向きに仕事頑張ってみよう!系のお仕事小説とは、

どうも表紙の雰囲気もコピーも違うぞ…とは思いつつ…だったが、

やっぱり全然違った。

 

書店員と二つの罪

 

17年前、中学生が同じ中学の女子生徒を殺害した事件が起こった。

その殺人犯「死我羅鬼 潔」が事件の告白本を発行した。

 

主人公の椎野正和は契約社員として書店で働いている。

この本を店頭で売らなければならない状況となる。

当時の事件がまたこの告発本のせいでにわかにマスコミ等にも取り上げられていく…

という話だ。

 

この本を読んで印象に残ったのが、

正しいことは楽だ、正義よりも重いものがある

ということだ。

 

正義を振りかざして他者を痛めつける人がいる。

因果応報とはならず、理不尽に自身が苦しまねばならない場合がある。

国民性・宗教観等、各自のバックグラウンドは様々だから、

時には、人の置かれた立場によって望ましいこと・正しいことが異なる場合もある。

世の中は、きれいに善悪/正誤で切り分けられない。

 

人はそれぞれ抱える事情が異なるし、その人の抱える事情は自分からではすべて見えることはない。

少なくとも私自身は、傍観者の立場で自分に被害がないところから

あれこれエラそうに断罪して見せるような真似だけはするまい、と思った。

 

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タイトル 書店員と二つの罪

著者   碧野 圭