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組織がある限りいつの時代も共通する「失敗」 歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓

歴史上の出来事として、戦国時代の武将がどういう戦や病気等の状況で死んだのか、時代の覇権はどう移ったのか、という点は理解していても、

各人物の行動や決断がどのように失敗に紐づいたかという観点では考えたことはありませんでした。

 

この本では、戦国時代から江戸末期の人物の行動、考え方、習慣、そういったものがどのように敗北/家の弱体化につながっていったか、また、成功した人はどう失敗経験をのちに生かして繁栄をつづけたか、が分析されています。

 

 

「現状に甘んじたふがいなさ」が失敗の原因の一人として、佐久間信盛が紹介されています。

織田信長の3人の譜代の家老の一人であり、織田家最高幹部6人の一人だった佐久間信盛は、何事にもそつなく、また、信長からも持久戦には適任と高い評価を受けていた。

しかし、大坂の石山本願寺との和睦(実質は本願寺の降伏)を果たした後、クビになってしまう。しかも、十九箇条からなる信長直筆の譴責状によって。

 

譴責状の内容は、他の武将が常時何倍もの敵と戦っているのに対し、佐久間は長期にわたった石山本願寺攻略として、目立った作戦を立てるわけでも、調略をするわけでも、また、打開策を見出すため信長に相談しようという姿勢も見せなかった。一方で、私利私欲ともいえる倹約に励んでいた、というようなもの。

これに対し、筆者は以下のように評価しています。

佐久間の失敗は、己も織田家の経営の一翼を担っている、との自覚が薄かったことにある。

このようなタイプの人は、中間管理職でとどまっていた方が、本人のためにも会社のためにも、無難かもしれない。

 

 

スケールこそ違え平凡な会社員の私にも身につまされる部分があります。

自分のタスクとして割り当てられたことはきっちりやる、では、タスクの範囲をやっていればいいうちは評価される。

でも、立場が変わるとさらに求められることが増える。

それだけやっているのでは全く評価されない。新しい立場に見合ったことができればよいが、期待されていることに応えられないと、その立場では無能扱いになる。

まさに、ピーターの法則

ただ現実問題としては自分にとっての「無難」の位置を把握するのは難しい。

私にできることは、自分ができる範囲で、手を伸ばせばできること、それを無理のない範囲でやることなのかな、と思いました。

 

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タイトル:歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓

著者:加来耕三

 

 

歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓

歴史の失敗学 25人の英雄に学ぶ教訓

  • 作者:加来耕三
  • 発売日: 2019/10/25
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)