「うまれることば、しぬことば」
反言葉狩り発言をするのはたいてい、芸能の世界の強者。ですが「言葉狩りにあっている」というと、不当に弾圧されている被害者のように見えたり、またその弾圧に対して反旗をひるがえす勇者のように見える効果があるのでした。
(言葉狩りの獲物と狩人 より引用)
印象に残ったのがこの言葉狩りエピソードだ。
私は、「言葉狩りだ!」と主張する人に違和感を持っていた。
祖父母が日常的に使っていた言葉の中には、私が子どものころは「若い人は使わない年寄りことば」だったものがいつしか「差別用語だから使ってはいけないことば」にかわってきた。
時代とともに、差別への認識が変わっていることを実体験として経験している。
しかし言葉狩りだ、ということで、言葉だけでなく差別的感情をまるごとぶつけられるうえ、差別的発言を避ける人を嘲笑するニュアンスも感じていたのだ、と気づいた。
ことばの持つニュアンスがあまりに鮮やかに言語化されているので、
もやもやっとした気持ちに光が差したように感じた。
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タイトル うまれることば しぬことば
著者 酒井順子