いろんな本を読んでみる

本を読み散らかすだけじゃもったいない!ので、読んだ本を記録します

「どうしてわたしはあの子じゃないの」世間に合わせる必要はない

「わたしの良い子」に続き、寺地はるなさんの「どうしてわたしはあの子じゃないの」を読んだ。

 

 

この本は、天・ミナ・藤生の同級生を中心とした話だ。

3人は山間の村の中学に通っていたが、ミナが親の離婚で東京へ行くことになった。

ミナと別れる前に互いに手紙を書き、20歳になったら一緒に読もうと約束をしていた。

中学生時代の天は小説家を志すが、書き溜めたノートを家族に笑われる。村の大人からも小説家を夢見ることを馬鹿にされる。いやいや参加した村の祭りの練習で、東京から移住してきた五十嵐に出会う。天があこがれている歌手と話したことがあると聞き、天は自分の知らない世界のことをもっと知りたいと渇望する。そして、村を出ていくと心に決める。

中学生時代のミナは、両親と父の実家に引っ越してきた。村の地主である実家を継いでいた伯父がなくなったためだ。ミナはかわいく男子にモテる。ミナは藤生が好きだが、藤生は天のことが好きでミナは眼中にない。思ったことを口にできず、周囲に流されがちで、考えをストレートに口にする天のようにはなれない、と思っている。

中学生時代の藤生は、女子にモテる。天のことが好きだが天には言い出せない。東京から来た五十嵐のことを天が好きなのではと思っている。
家の喫茶店に来た五十嵐のライターを盗んだ。祭の前日、五十嵐が翌朝村を出ていくと聞いて、天に気持ちを問おうと天を呼び出そうとする。だが五十嵐は予定より早く家を出ており、しかも神社で火事が起こってる。藤生は神社に五十嵐のライターを置いてから、駅に向かう。

3人が大人になって再会し、手紙を互いに読む。お互いが自分以外のようになりたいと思っていた。

そして、自分の選んだ生き方で生きていこうと決める。

 

この本で印象に残ったのは、大人になった天と藤生が話すシーン。

 

人生は正解に沿って生きるほうがきっと楽だ、自分の頭で考えなくていいから。

(中略)

「どうして私はあの子じゃないんだろう、って、いつも誰かを羨ましがってた。でも私はやっぱり他人の必死さを笑ったり、心配するふりして気持ちよくなったりする側より、笑われる側にいるほうがずっといい」

(中略)

「私たちのままで落とし前をつけようよ」

 

 

この、心配するふりをして気持よくなる、というのにはっとした。

日頃、世間体、常識や正解に沿って行動を決めてしまいがちで、正直、何らかの不満を抱えている。
我慢をしてまで、嫌われないようにすることだけ気にして生きることはない。

気持ちよくなるために人のことをあれこれいっているのを、まともに取り合うことはない。

考え方を変えるヒントとなる話だった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

タイトル:どうして私はあの子じゃないの

著者  :寺地はるな