日本よりさらに男女差別の大きい(と思われる)韓国の話ですが、
まったく、ほぼそのまま日本でも当てはまると思う事項が多数。
キム・ジヨンのうまれてから、子供を産むあたりまでの人生の中で、
いくつも出会う性差別(それが当然のこととして行われる)がある。
・小さいころは、きょうだいの中では弟最優先
・10代では痴漢や変質者にあっても被害者として訴え出ることもできない
・仕事でも、男女差別、セクハラは当然のこととして存在。ぶあついガラスの天井
復職しても家庭と仕事が回らなくてすり減って辞めていく同僚たちがいる。
・結婚して、子供が生まれる。嫁は夫の都合に合わせて当然。子どもが生まれたことで失うものが男女で差がありすぎる。
出産後も仕事を続けられるか、という不安について語った内容が、まさに、私の言いたいことをすべて代弁しているようなきがする。
私は今の若さも、健康も、職場や同僚や友達っていう社会的ネットワークも、今までの計画も、未来も、全部失うかもしれないんだよ。
最後に大逆転するわけでもなく、淡々と、キム・ジヨンの人格が乖離していくまでの
いろいろなエピソードが積み重ねられている。
読後感として、救いがあるとすれば、キム・ジヨンの母は、夫に頼らず自身で人的ネットワークも資産も作り上げていくところ。
男女の差別があっても、努力すれば結果が出ることもある、ということ。
ただし、男女差別は社会のしきたりであり宗教観であり、甘受すべきものだ、ではなくて、やっぱりおかしい、と言葉にするのが第一歩だな、と感じました。
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タイトル:82年生まれ、キム・ジヨン
作者:チョ・ナムジュ
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