主人公の女子大生が作家となりたい、と志す。
賞をとり仕事が増えるなかで、先に成功していたクリエイターの彼氏とも歯車が噛み合わなくなってくる。
二作目は彼氏からアイデアを盗んだと言われ、二人の同棲生活も破綻し、主人公は小説を書かなくなる。
ようやく書いた小説で、編集者からは「世を恨んでいる人の愚痴」だと評価される。
そんな折、「才能は周りの人間がつぶすことはできない。才能をつぶすことができるのは
本人だけだ」という話を聞き、はっとする
私には素晴らしい才能があるはずなのに、男に操られて才能を奪われた、とその小説は言っているに過ぎない
と気づき、小説からかつての憤りを差し引いていく。
世を恨む人の愚痴というフレーズ、思い当たるふしがありすぎて、
耳が痛いですが、やっぱり、自分を救うことができるのは自分だけ、
誰かが解決はしてくれないし、誰かが解決してくれたら
また同じような場面で苦しむような気がする。
前向きに生きられるようになりたいと思える一冊。
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タイトル:私のなかの彼女
著者:角田光代
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