「わるい食べもの」シリーズで、著者が京都から東京へ引っ越してからのエッセイ集だ。
中でも共感したのが 「めんつゆはデニム 」だ
マジョリティの「当たり前」にモヤモヤする、と筆者は述べている。
「デニムにも合いますよ」と、必ず「デニム」があるはずだという前提で店員に洋服を進められ、(著者はジーパン を持っていない)
めんつゆがお手軽レシピの味付けに頻出する。(著者はめんつゆは常備していない)
マヨ入り表記がないのにハンバーガーや煮卵おにぎりなどにも実はマヨネーズが入っている(市販のマヨネーズは好みではない)
メジャーなものが苦手だと肩身が狭くなることが、腑に落ちない。
個々の食の好みにマイノリティ もマジョリティもないはずだ、というのだ。
これを読み、めんつゆとデニムが同じ!という観点に思わず笑ってしまった。
私もめんつゆレシピは好きじゃない。
なんだか、全部おんなじような味になってしまう気がするし、うますぎる(めんつゆの旨味だけが勝ってしまうように感じる)からだ。
マヨネーズもあまり好きじゃない。
とくに温かいマヨネーズは苦手だ。
居酒屋でたこ焼きをたのむひとがいたら、
マヨナシっていいづらいから、それだけでテンション下がる。
でも、デニムは持っているので、店でデニムに合うと勧めらることには違和感はなかった。
しかし、
めんつゆとデニムは同じジャンル
(誰でも持ってる前提)
という共通項でくくられたら、特徴がくっきり見えてくるから不思議だ。
「人の好みは それぞれなのに あたかも正解があるか言われるのは納得がいかない」と抽象化して考えることで、単に 「めんつゆがー」「デニムがー 」と言うだけよりも ものすごく説得力が上がるのだ。
ビジネス書でよく、課題を抽象化せよ とあるが その効果がよくわかった。
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タイトル こりずに わるい食べもの
著者 千早茜