ビジネスデザイン
自分の仕事をよりよくするためのビジョンの描き方、ビジョンを要件定義に落とし込むやり方を解説した本だ。
この本では、ビジョン・プロセスを明確にして、IT前提でそのビジョンとプロセスを実現する要件定義を行うまでが解説されている。
- 表層的なやりたいことから、本当にやりたいビジョンを明確にする。
- 顧客の悩みの解決に貢献することが役割(ミッション)であり、仕事(ビジネス)。提供価値(バリュープロポジション)ともいえる。
- 仕事どうしの連なり(プロセス)の順序を明確にする。
- 要件定義として、UI/機能/データ を定義する。
そのうえで、
無駄をなくしたいなら、ゴールをこそ明確に
ビジョンにつながらない仕事はすべて無駄
ということを踏まえ、
具体的な成果を出すこと
そのために、何をどうするのかを
明確にすること
それをきちんと実際にやること
が大事だと著者は説明している。
これは、情報システム部門やシステムインテグレーター(SIer)向けというよりは、
ユーザ部門向けに書かれた本だ。
ユーザから提示された要件が本当にビジョン・プロセスをかなえる手段か?というところは、意識しておくべき内容だし、
こうしたビジョンやプロセスの抽出自体を支援する(意見を引き出す)ことも求められると思う。
(そうしないと、「こんなシステムが欲しいわけじゃなかった…」に陥りがちで、誰もハッピーにならない)
また、この本では、「レストランでいうなら?」といった例がいくつも挙げられていて、
具体的かつ身近なイメージから入ることができ、入門的な位置づけとして役に立つと思う。
著者の言う通り、一発でうまくいく方法はないだろうから、
失敗しても、「実際にやってみる」を肝に銘じたい。
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タイトル ビジネスデザインー未来を作るビジョンとプロセスとITの話
著者 羽生章洋
出版社 技術評論社