いろんな本を読んでみる

本を読み散らかすだけじゃもったいない!ので、読んだ本を記録します

「ネオサピエンス」理想が理想でなくなる時。

愛着障害」で知られる岡田尊司さんの著書ということで手に取った。

 

この本では、「回避型愛着」を示す人を別の人類とし、それらが増えた社会がどう変わるかという観点で考察されている。

「回避型人類」と、ホモ・サピエンスは、ネアンデルタール人ホモ・サピエンスレベルでの違いがある、という前提だ。

回避型は、他者との情緒的なかかわりに喜びも関心も持たず、誰とも希薄な絆しか持たないタイプ

 であり、その特性は、このように述べられている。

  • 人よりを愛する
  • 愛着系の欲望がほとんどない達成感によって満足を得る
  • おしゃべりや悪口に対する強い拒否感がある

 

人間では公正さは実現できないが、AIであれば情報・制度を短期間で管理できる。

そして、回避型人類が増えることにより以下のような「死の社会」となるかもしれない、と締めくくられている。

 

愛着という束縛を脱し、AIにより完璧に管理された公正な社会。だが、同時にぬくもりも気持ちの交流もない、ばらばらの個がくらす社会

 

この本を読んで意外だと思ったことは、

  • 公正であること。
  • 悪口やおしゃべりに忌避感を感じること

それらは、一見理想的だが、他者への無関心と裏返しの事象であるということ。
そして、人間が愛着関係をもって生きていくには、公正さを犠牲にせねばならない、ということだった。

 

 

悪口やおしゃべりが苦手でも、それらを一切排除した公正な世界はまた恐ろしい、と想像できた。

自分にできることは、苦手なことから逃げ続けるのではなく、向き合う勇気を持つことだと感じた。

 

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タイトル:ネオサピエンス

著者  :岡田尊司