ヤクザの主人公が組の指示でアルコール依存症治療のために大学病院の精神科に通う。検査の結果、反社会性パーソナリティ障害と診断される。
そんな中、組長に発砲をしてきた男を車で追い詰め転落死させてしまい、身を隠す必要ができた。
そのため、かねてから提案されていた大学病院の「プログラム」として入院することを決める。
そこでの生活を通して、自分たちが治療ではなく「実験」をされているのでは、という疑念を抱くようになり…。
この本を読んで感じたのは2つ。
・相手が自分と同じ前提で、同じような感情の動きをするわけではない。
・自分に大切なもの、守るべきものがあるなら、自分から行動を起こすこと。
反社会性パーソナリティの特性を持つ登場人物が何人か出てくるが、「他社に対する共感力が欠如する、怖いという感情がない」など、
相手が何を考えているのかなんて全く理解ができない。
同じモノサシで見ているつもりになっていたら、きっと痛い目に合う。
「周りがどう思っているんだろう」と悩みがちだが、「周り」は「周り」の基準で生きていて、自分がムダに想像してもしょうがないし、わかりようがない部分もあると、割り切ることが大事だと思った。
人は自分と同じ前提には立っていないからこそ、自分が守りたいものがあるなら自分で判断して行動することが大事だ、ということも感じた。
例えば、「反社会性パーソナリティを持つけれど社会でうまくやっていく術を身に着けていて、他者にとっては残酷で非情な判断を平気でする人」、が身近にいるのかはわからない。
でも、自分を守るのは自分しかいないのだから、大変でも、自分で判断して行動することを続けたいと思う。
ーーーーーーーーーー
タイトル:海馬の尻尾
著者 :荻原浩
- 価格: 990 円
- 楽天で詳細を見る